フロアルールの更新とディールシャッフル
2016年9月29日
こんばんは、名古屋でMTGのL2ジャッジをしている「ふみ」です。
「ジャッジってこんなこと考えて楽しんでるんだよ」
ということを広めたくて始めた日記の第7回です。
(第5回と第6回のネタはあるのですが、時間が取れなくて文章にできずに積まれてます。)
さて今回は、先日フロアルールの更新が発表されましたので、そのお話をします。
そもそもフロアルールとは何かというと、イベントに関するルールです。
マジックには、ゲーム内のルールである『総合ルール』の他に、ゲーム内に限らずイベントがどのように行われるべきかというルールがあり、俗に『フロアルール』と呼ばれています。
例えば、「ラウンドの終了時間が来たときに対戦の決着がついていなかったらどうするか」は、総合ルールには書いてありません、それはゲームの外のことです。しかし実際にイベントを進行するためには決めておかなければなりません。そこで、そのようなイベントに関することはフロアルールで定められています。
これらのルールが更新されるタイミングは決まっており、楽しい楽しいプレリリース週明けの月曜日に発表され、それらは発売日(つまり明日!)から適用されることになります。
(ちなみに、英語で出たアナウンスを即日中に日本語に翻訳してくれる凄い人もいます。
http://jg0xol.diarynote.jp/201609270522202316/)
フロアルールの更新は、イベントの進行手順や違反への対応などプレイヤーが知る必要の無いことも多いですが、今回はプレイヤーにも知って気を付けてほしい変更がありました。
それは、ディールシャッフルに関してです。
ディールシャッフルとは、別名でパイルシャッフルや○山切りなどとも呼ばれる、いくつかの山に分けて1枚ずつカードを配っていくシャッフルです。他のシャッフル方法と比べてスリーブを傷付けにくいという利点があり、使用しているプレイヤーも多いかと思います。
しかしこのディールシャッフルに関して、以下のような変更が加えられます。
・ディールシャッフルだけでは充分な無作為化とは認められなくなりました。
・ディールシャッフルは切り直し1回につき1回しか行ってはならなくなりました。
2017年1月に更に変更されました。2017年1月時点でのルールは以下の通りです。
ディールシャッフルは1ゲームにつき1回しか行ってはならなくなりました。
明確な理由は発表されてはいませんが、以下のような理由だと言われています。
・実際はカードを並べ替えているだけなので容易に積み込みができてしまう。
・何度も繰り返すと非常に時間がかかってしまう/時間稼ぎができてしまう。
・無作為化の手段としては時間がかかる割に効果が小さい。
ディールシャッフルが、無作為化の手段として対時間効果が小さいというのは、意外と感じる人もいるかと思います。
デッキを「均質化」するのであれば効果的です。例えば、サイドインしたカードをデッキの一番上にまとめて積んでからディールシャッフルを始めれば、デッキ内に綺麗にバラバラに配置され、よく混ざっているように見えるでしょう。
しかしそれは、MTGで求められている「無作為化」とは違います。無作為化とは、デッキの中の並びやカードの位置が全く分からない状態です。上の例で、サイドインしたカードがデッキ内に綺麗にバラバラに配置されている状態は、「無作為化」されているとは認められません。
ディールシャッフルは、普通に行うとただ規則的に並び替えるだけであり、配る山の順番などで工夫をしてもある程度の規則性は残ってしまいます。また、後述で推奨されているファローシャッフルに比べて同じ時間で動かせるカードの枚数も少ないです。無作為化の手段として意味が無いとまでは言いませんが、時間がかかる割に非常に効果が小さいと言えます。
ジャッジ関係者のフォーラムでは、元L5の偉いジャッジが「あれはシャッフルじゃない!数えてるだけ!“パイルシャッフル”と呼ぶのをやめて“パイルカウンティング”と名付けよう!」なんて言っているくらいです。
というわけで、ここからはディールシャッフル改めパイルカウンティングと呼ぶことにします。
一方で、パイルカウンティングを行うこと自体は、悪いことではありません。
無作為化の手段としては効果が小さくても、デッキのカード枚数やスリーブの状態を確認する手段としては有効なものです。それらを目的として、対戦を始める前に行うことは、むしろ良いことでしょう。
良くないのは、パイルカウンティングを無作為化の手段として繰り返すことです。
デッキ枚数やスリーブの状態は一度確認できれば充分で、短期間に何度も繰り返し行う必要はありません。無作為化の手段としては他にもっと効果的な方法があるので、限りある対戦時間は大切に使ってほしい、ということです。
ならば、どのようなシャッフルを行えばよいのでしょうか。
詳しくは、少し古いですが↓の動画がとてもわかりやすいので観てください。
https://www.youtube.com/watch?v=isfHlD-qc8Q
シャッフルを行う際のポイントは、以下の通りです。
・ファローシャッフルは繰り返すことでカードの並びも場所もわからなくなるのでメインに使う。
・ファローシャッフルはデッキの一番上や一番下が残らないようにずらして入れる。
・ファローシャッフル数回ごとにヒンズーシャッフルを挟んで更に無作為性を高める。
この方法でシャッフルを行えば、効果的な無作為化ができます。
目安としては、ファローシャッフルを最低10回以上、できれば15回以上繰り返してください。
それでも、パイルカウンティングを2回行うよりも、早く終わるでしょう。
というわけで、この日記を読んでくれた皆さんはこの機会に、今までよりも少しシャッフルに気を付けてみてください。
とはいえ、長く続けてきた慣習を新しくするには、まだしばらく時間がかかることでしょう。
もし、あなたの身近に“パイルカウンティング”を繰り返しているプレイヤーがいたら、優しく教えてあげてください。
今週は以上です。
また来週の木曜日にお会いしましょう。
おっと、その前に日記を書いていない分を書かなければ…
~~~~~~~~
今週末の予定です。よろしくお願いします。
○10/01土 PPTQ霊気紛争-アドバンテージ上前津
http://www.advantagetcg.jp/product/26814
○10/02日 PPTQ霊気紛争-イエローサブマリン名古屋GAMESHOP
http://www.yellowsubmarine.co.jp/taikai/taikai_057.htm
「ジャッジってこんなこと考えて楽しんでるんだよ」
ということを広めたくて始めた日記の第7回です。
(第5回と第6回のネタはあるのですが、時間が取れなくて文章にできずに積まれてます。)
さて今回は、先日フロアルールの更新が発表されましたので、そのお話をします。
そもそもフロアルールとは何かというと、イベントに関するルールです。
マジックには、ゲーム内のルールである『総合ルール』の他に、ゲーム内に限らずイベントがどのように行われるべきかというルールがあり、俗に『フロアルール』と呼ばれています。
例えば、「ラウンドの終了時間が来たときに対戦の決着がついていなかったらどうするか」は、総合ルールには書いてありません、それはゲームの外のことです。しかし実際にイベントを進行するためには決めておかなければなりません。そこで、そのようなイベントに関することはフロアルールで定められています。
これらのルールが更新されるタイミングは決まっており、楽しい楽しいプレリリース週明けの月曜日に発表され、それらは発売日(つまり明日!)から適用されることになります。
(ちなみに、英語で出たアナウンスを即日中に日本語に翻訳してくれる凄い人もいます。
http://jg0xol.diarynote.jp/201609270522202316/)
フロアルールの更新は、イベントの進行手順や違反への対応などプレイヤーが知る必要の無いことも多いですが、今回はプレイヤーにも知って気を付けてほしい変更がありました。
それは、ディールシャッフルに関してです。
ディールシャッフルとは、別名でパイルシャッフルや○山切りなどとも呼ばれる、いくつかの山に分けて1枚ずつカードを配っていくシャッフルです。他のシャッフル方法と比べてスリーブを傷付けにくいという利点があり、使用しているプレイヤーも多いかと思います。
しかしこのディールシャッフルに関して、以下のような変更が加えられます。
・ディールシャッフルだけでは充分な無作為化とは認められなくなりました。
・
2017年1月に更に変更されました。2017年1月時点でのルールは以下の通りです。
ディールシャッフルは1ゲームにつき1回しか行ってはならなくなりました。
明確な理由は発表されてはいませんが、以下のような理由だと言われています。
・実際はカードを並べ替えているだけなので容易に積み込みができてしまう。
・何度も繰り返すと非常に時間がかかってしまう/時間稼ぎができてしまう。
・無作為化の手段としては時間がかかる割に効果が小さい。
ディールシャッフルが、無作為化の手段として対時間効果が小さいというのは、意外と感じる人もいるかと思います。
デッキを「均質化」するのであれば効果的です。例えば、サイドインしたカードをデッキの一番上にまとめて積んでからディールシャッフルを始めれば、デッキ内に綺麗にバラバラに配置され、よく混ざっているように見えるでしょう。
しかしそれは、MTGで求められている「無作為化」とは違います。無作為化とは、デッキの中の並びやカードの位置が全く分からない状態です。上の例で、サイドインしたカードがデッキ内に綺麗にバラバラに配置されている状態は、「無作為化」されているとは認められません。
ディールシャッフルは、普通に行うとただ規則的に並び替えるだけであり、配る山の順番などで工夫をしてもある程度の規則性は残ってしまいます。また、後述で推奨されているファローシャッフルに比べて同じ時間で動かせるカードの枚数も少ないです。無作為化の手段として意味が無いとまでは言いませんが、時間がかかる割に非常に効果が小さいと言えます。
ジャッジ関係者のフォーラムでは、元L5の偉いジャッジが「あれはシャッフルじゃない!数えてるだけ!“パイルシャッフル”と呼ぶのをやめて“パイルカウンティング”と名付けよう!」なんて言っているくらいです。
というわけで、ここからはディールシャッフル改めパイルカウンティングと呼ぶことにします。
一方で、パイルカウンティングを行うこと自体は、悪いことではありません。
無作為化の手段としては効果が小さくても、デッキのカード枚数やスリーブの状態を確認する手段としては有効なものです。それらを目的として、対戦を始める前に行うことは、むしろ良いことでしょう。
良くないのは、パイルカウンティングを無作為化の手段として繰り返すことです。
デッキ枚数やスリーブの状態は一度確認できれば充分で、短期間に何度も繰り返し行う必要はありません。無作為化の手段としては他にもっと効果的な方法があるので、限りある対戦時間は大切に使ってほしい、ということです。
ならば、どのようなシャッフルを行えばよいのでしょうか。
詳しくは、少し古いですが↓の動画がとてもわかりやすいので観てください。
https://www.youtube.com/watch?v=isfHlD-qc8Q
シャッフルを行う際のポイントは、以下の通りです。
・ファローシャッフルは繰り返すことでカードの並びも場所もわからなくなるのでメインに使う。
・ファローシャッフルはデッキの一番上や一番下が残らないようにずらして入れる。
・ファローシャッフル数回ごとにヒンズーシャッフルを挟んで更に無作為性を高める。
この方法でシャッフルを行えば、効果的な無作為化ができます。
目安としては、ファローシャッフルを最低10回以上、できれば15回以上繰り返してください。
それでも、パイルカウンティングを2回行うよりも、早く終わるでしょう。
というわけで、この日記を読んでくれた皆さんはこの機会に、今までよりも少しシャッフルに気を付けてみてください。
とはいえ、長く続けてきた慣習を新しくするには、まだしばらく時間がかかることでしょう。
もし、あなたの身近に“パイルカウンティング”を繰り返しているプレイヤーがいたら、優しく教えてあげてください。
今週は以上です。
また来週の木曜日にお会いしましょう。
おっと、その前に日記を書いていない分を書かなければ…
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今週末の予定です。よろしくお願いします。
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